①義務教育課程における、川崎市のプール指導のあり方について

織田かつひさ

 義務教育課程における、川崎市のプール指導のあり方について伺います。

 私の周囲で、学校における適切な水泳指導を受けることができずに、「泳げない子ども」がたくさんいる事実を把握したことが大きな契機となり、これまで、議会でプール指導の改善にむけて議論を重ねてきました。

 昨年まで、水泳学習カードの有効利用など個々の技能獲得目標である「めあて」をどのように適切に指導しているのかを実際に調査したところ、学校によっては、水泳学習カードなどを一切利用せず、児童個々の「めあて」や到達状況を把握していない実態があることが明らかになりました。

 改善を求めておきましたが、どのような対応をしてきたのか。さらに、西有馬小、西野川小それぞれについて、その後の具体的な取り組みを伺います。

教育長

 各学校の水泳指導におきましては、これまでにも指導方法を工夫するなど、子どもたちのめあてや到達状況を把握し、個々に応じた指導を行ってきております。

 教育委員会といたしましては、本年度、各種の研修等を通して、子どもたち一人一人の課題の克服に向けた指導の工夫やより正確に子ども達のめあてや到達状況を把握する手立てとして、学習カード等の提示を行ってまいりました。ご指摘の2校においても、今年度から、水泳指導におきましては、学習カードを使用するとともに、地域スポーツ人材の活用実践支援事業を活用し、地域のスイミングクラブの指導者等を体育の授業に招き、水泳指導の充実を図っているところでございます。

 また、西有馬小学校におきましては、子ども達や保護者等の要望により、地域や学校の実態を考慮するなかで夏季休業中のプール開放を始め、子ども達の体験活動の場を提供し、特色ある学校づくりに努めているところでございます。

織田かつひさ

 「水泳カード」の作成や、水泳授業に大学やスポーツクラブの指導者を手配するなど、改善がなされているようです。やっと正常化した、という思いです。取り組みを見守りたいと思います。

 次に、小学校教員採用時における、実技指導を本年から凍結するとのことですが、これまでの経緯と、実技指導にあたっての、新任の教員のスキルアップまたは、スキルのフォローをどのように対応しているのか、伺います。

教育長

 教員採用候補者選考における実技試験につきましては、児童・生徒を指導する際に必要な、一定の水準の指導力・技能についてを確認するために実施してまいりました。実技試験の実施にあたりましては、実施のための設備や、救急体制などの安全に関わる措置に加え、円滑な実施・評価に係わる時間確保、受験生への負担と、選考試験における判断資料としての活用効果とのバランスを考慮する必要があり、小学校の実技試験科目『体育』の内容のひとつである水泳については、試験実施の効果性は低いものと判断してきたところでございます。

 川崎市における教員採用におきましては、かねてより、魅力ある優れた人材を確保する観点から、選考方法および試験科目等の工夫・改善を図ってきており、小学校の実技試験については、今年度の選考試験では実施しないことといたしました。結果として、小学校の応募倍率の大幅な上昇につながり、新規採用教員の質的レベルを確保する環境が整ってきているものと考えております。

 また、新任教員のスキルアップについてでございますが、水泳指導に係わる指導力・技能向上について、各学校での校内研修会や複数の教員で実施する授業実践を通して、安全面を含めた水泳指導に関するスキルアップに努めているところでございます。

 さらに、新任教員を含め、採用5年未満の小学校教員を対象に、児童の健康・安全を含めた指導力の向上を図ることを目的とし、夏季休業中に2日間の水泳実技講習会を開催する他、水泳を含めた体育実技につきまして、小学校体育研究会の協力により、3日間の夏季体育実技指導者講習会を開催し、これら講習会への積極的な参加を通じ、それぞれの資質向上に努めているところでございます。

織田かつひさ

 小学校においても、中学校においても、過去をさかもどってほとんどの水泳実技試験の実績がないとの報告をきき、正直驚きました。本市の水泳指導へのこだわりのなさを象徴しているように思えます。

 新期の教員採用にあたって、どの近隣自治体も募集に苦労しているようですが、例えば、横浜市では「子どもの安全にかかわることだから」と水泳実技のみ廃止せず、継続しております。これは、水泳指導に関する一つの見識と理解します。

 小学校における水泳授業時間数は、学校により、年間8から12時間程度と幅があるものの、この時間数では、「学習指導要領」で例示されている内容に到達するのは難しいのが実態です。

 例えば、5,6年生では、「呼吸をしながら25メートルから50メートル程度」と例示されています。

 そこで、横浜市や東京都のように、夏休み期間などの「授業時間外の学校行事としての水泳指導」で能力別に水泳指導する必要性を指摘してきましたが、新規の「学校行事としての水泳指導の取り組み」について考え方を伺います。

 さらに、西有馬小や西野川小のように、進学先の中学校にプールがなく、中学校でのプール指導をうけることのできない子どもたちに対しては「小学校時代の特別な指導の工夫」が必要と考えます。指導のあり方について伺います。

教育長

 初めに新規の学校行事としての水泳指導の取り組みについてでございますが、今回の学習指導要領改訂で、総授業時間数が増えている現状を踏まえると難しいものと考えておりますが、今後は学校プール開放事業の場を活用しながら、学校施設開放運営委員会に働きかけ、要望に応じて、地域スポーツ人材の活用実践支援事業に準じた外部指導者の派遣を行うなどの支援についても検討してまいりたいと考えております。

 次に、進学先の中学校にプールがない小学校における指導のあり方についてですが、学習指導要領に基づき、水泳指導において、子ども達や保護者の要望など各学校の状況に基づいて、それぞれの学校における取り組みの中での工夫により、指導が行われているものと考えております。

 また、地域スポーツ人材の活用実践支援事業を活用し、地域のスイミングクラブや大学の協力をいただき、スイミングスクールのコーチや大学の水泳部の競技選手などを指導補助者として派遣する等、指導の充実を図っているところでございます。

織田かつひさ

 生涯スポーツを楽しむという視点よりも、「自分の身を守るスキル」を身につける、との視点で水泳指導の改善がされるよう、これからも注視して参ります。

②アスベスト対策について

織田かつひさ

 アスベスト対策について伺います。

 喫煙率が下がっているにもかかわらず、肺がんや中皮腫で亡くなる人が急増している実態から、アスベストの環境曝露が懸念されております。

 隣接する、横浜市鶴見区では、平成19年に環境省からの委託事業として「石綿の健康リスク調査」を行いました。平成20年、21年と引き続き調査を行うとのことです。

 同じく隣接する大田区についても、平成19年に区予算で調査を行い、平成21年から環境省の予算でリスク調査を行っています。

 川崎市においても、労災以外に中皮腫で亡くなっている事例が川崎病院などで報告されています。

 さて、厚生労働省の労災の認定等事業者一覧をみると、市内の事業者が多岐にわたって労災認定を受けている症例があります。当然、その事業所もしくは、作業現場の周辺にも「環境曝露」している方々が存在する懸念がございます。

 ついては、川崎市もかってアスベストを材料として、もしくは、取り扱っていたと思われる事業所の周辺を何か所か限定して、モデル的に「アスベスト健康調査」を行い、実態を調査してみる必要性を感じます。調査をおこなうことについて健康福祉局長に伺います。

健康福祉局長

 はじめに、横浜市では、鶴見区内のアスベストを扱っていた企業が、近隣住民を対象とした健康診断を行った結果、アスベストの環境ばく露が疑われたことから、区民等を対象として、環境省からの委託を受け健康リスク調査を実施し、また、大田区では、東京労災病院からアスベストの環境ばく露によると疑われる複数の症例報告があり、調査の結果、アスベスト関連工場跡の存在が判明したことから、環境ばく露の可能性があったと思われる周辺住民に対し、実態把握の調査を行ったと伺っております。

 川崎市では、今年度アスベスト専門外来を行っている市内医療機関に対し、発症を疑われる症例等についての調査を予定しており、併せて近隣の専門外来を行っている医療機関や、近隣自治体からの情報収集・情報交換等について進めていくこととしておりますので、地域を特定した健康リスク調査につきましては、それらの調査結果等を基に、今後検討してまいりたいと存じます。

織田かつひさ

 鶴見区と大田区で環境曝露が指摘されているのに、本市にないわけがありません。関係病院、関係自治体間での情報交換、情報収集に取り組み、環境省の「健康リスク調査」へのエントリーを検討してほしい、と思います。

 次に、アスベスト含有建材に関する定義について伺います。

 文科省では、各自治体に吹付けアスベストの調査を行うよう通達を出していますが、その中で、吹付け材として、吹付け石綿の他、バーミキュライト吹付け、パーライト吹付けなどが挙げられており、また国交省のマニュアルの中にもこの両者はレベル1、つまり1発じん性の高いアスベスト含有建材として、位置づけられております。

 そこでお尋ねしますが、環境省においても、同様な解釈であると考えてよいのか、環境局長に伺います。

環境局長

 環境省では、アスベストの飛散防止のため、大気汚染防止法の中で、吹付け石綿や、石綿含有の保温材等を特定建築材料として定め、これら特定建築材料が存在する建物の解体について、届出を義務付けています。

 ここで、吹付け石綿の内訳としましては、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、石綿含有ひる石吹付け材、石綿含有パーライト吹付け材等が通知の中で例示されております。

 環境省では、レベル1という呼称を使ってはおりませんが、これら吹付け石綿は、他省庁とほぼ同様に、飛散性の高いアスベスト含有吹付け建材と考えられるところでございます。

織田かつひさ

 次に、先日、市立高等学校の図面のコピーをいただいたのですが、同じ素材であるのに、設計事務所によって、色々な表記の仕方があることが分かりました。

 例えば、階段裏や機械室には、「パーライト吹付け」との表記の他に、「吸音性ガン吹付け」のように材料の表示のないものもありました。また、アスベスト除去工事には、石綿作業主任者が選任でいなければならないのですが、その石綿作業主任者が指導するための教科書の「石綿作業主任者テキスト」には、レベル1、つまり石綿含有吹付け材の定義として以下のように記されています。

 「天井、壁の石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止として使われている」これが、パーライト吹付け、バーミキュライト吹付けにあたるようですが、例えば、「セメント吹付け」という表記がある場合、この解体時どのように扱うのか、まちづくり局長に伺います。

まちづくり局長

 川崎市では、担当職員が過去の設計図書等や現場確認等の調査を行い、例えば、セメント吹付けに関して、アスベストの有無が不明な場合は、工事段階において、解体業者が専門の業者に委託し、分析調査を行うよう、川崎市が指示しております。

 その結果、セメント吹付け材にアスベストが含有されていた場合は、レベル1の石綿含有吹付け材として扱うこととし、石綿作業主任者が、石綿障害予防規則等の関係法令に基づき、飛散防止等の措置を行ったうえで解体作業を行っております。

織田かつひさ

 分析の上、アスベストが含まれていれば、レベル1の石綿含有吹付け材として扱う、とのことです。バーミキュライト吹付けも、セメント吹付けも、形状は固く、成分は同じであります。

 成分は、セメント、水、骨材でありまして、この骨材の種類が「パーライト」、「バーミキュライト」などであるということで、問題は、さらに混和材として「アスベスト」が混入されている可能性が高いということです。そこで、石綿則第3条で、「吹付け材」の分析が義務付けられているのです。

 次に、一般論として、吹付け材があって、図面に商品名など石綿の含有を示す表記がない場合、さらに、目視ではアスベストの使用がないことを断定ができないので、この吹付け材に関して、分析調査をせずに解体に入ると大気にアスベストが飛散し、大気汚染防止法第26条に示されるような、「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずる」可能性が懸念され、市民などからの通報などがあった場合、どのように対処するのか、環境局長に伺います。

環境局長

 市民からアスベスト飛散に係る懸念について通報を受けた場合には、環境局といたしましては、大気汚染防止法の届出の有無を確認し、届出があった場合は、立ち入りなど所定の対応を図ってまいります。

 届出がない場合につきましては、立ち入り権限がないので、職員が現地に赴き、物件の所有者等に連絡し、現場の状況を外から確認し、懸念のような実態があるのか聞き取りを行い、当該建築物にアスベストが使用されている場合には、大気汚染防止法に基づく届出を指導してまいります。

織田かつひさ

 ただいま大気汚染防止法の届出についてのコメントがありました。アスベスト対策の先進自治体として知られる文京区に視察に行ったおり、担当者が「届出があろうがなかろうがアスベスト飛散の懸念があれば遠慮なく立ち入る」、「あくまでも、アスベストを飛散させないことが目的であるから」との自信のある発言に「市民の健康被害を防ぐ」との使命感と責任感を感じ、また川崎市の担当者と比べてうらやましくも感じました。

 川崎市においても健康福祉局と環境局がしっかり連携して市民を「アスベストによる健康被害から守る」取り組みをしっかり行うように強く要望しておきます。

③保育所待機児童解消への取り組みについて

織田かつひさ

 待機児童の解消への取り組みについて伺います。

 保護者のライフスタイルの多様化に対応して、市の予算で「幼稚園の預かり保育事業」の充実は図れないのか、ということであります。

 教育基本法の改正で幼児教育の必要性が正式に位置付けられ、今まで以上に幼稚園の役割が重要となっています。

 また、過日、市の発表によると本年度も4月現在で713人の待機児童が残念ながら発生しており、待機児童の解消策も焦眉の急の事態となっております。

 お隣の横浜市では、幼稚園の預かり保育を「幼稚園預かり保育事業」と名づけて、平日のみならず、夏休み等の長期休業期間中も実施し、3歳児から5歳児までを対象とした「待機児童解消策」と正式に位置づけております。実施園では、一日平均30人程度が利用し、毎年1割程度利用が伸びている、とのことであります。特筆すべきは、預かり保育を受ける児童に年下の兄弟がいる場合は、「特例保育」として0歳から2歳児の受け入れも一部の園でおこなっていることです。

 保護者の負担は、上限で一人当たり月額9,000円、横浜市の事業予算は年間約6億円となっています。因みに、川崎市単独の補助金は、年間約1,000万円にすぎません。

 横浜市では、3歳児以上の待機児童は年々減少傾向にあり、着実に成果をあげております。

 保護者のライフスタイルの多様化に対応して、川崎市も3歳児以上の待機児童の受け皿として、市の予算で幼稚園の「預かり保育事業」を積極的に活用し、「緊急保育5か年計画」の見直しに反映させ、少しでも待機児童の減少をはかるべきと考えますが、伺います。

こども本部長

 いわゆる預かり保育につきましては、幼稚園教育要領におきまして、地域の実態や保護者の要請により、教育課程に係わる教育時間の終了後等に希望するものを対象に行う教育活動については、幼児の心身の負担に配慮することとし、実施にあたっては、教師間や家庭との緊密な連携を図ること等、いくつかの留意点が示されております。

 川崎市におきましては、この幼稚園教育要領に基づき、預かり保育を実施している幼稚園に対し、補助を行っておりまして、昨年度からは実施日数が多い幼稚園に対し、補助単価の増額を図りました。

 なお、横浜市と川崎市では幼稚園の入園状況も異なりますことから、幼稚園における預かり保育について、関係団体であります川崎市幼稚園協会と研究してまいりたいと考えております。

織田かつひさ

 次に、保育園型と幼稚園型のそれぞれの「認定こども園」の特性をいかして、0歳から2歳までは、保育園型認定こども園で、3歳から5歳児までは幼稚園型の認定こども園で「幼児教育」を担当する、という考え方があります。

 ところが、現状では幼稚園型の認定こども園には、保護者への補助制度がないので、フルタイムで子どもを預けると負担が大きく利用を躊躇せざるを得ない実態です。ある試算によるとフルタイムで月に18,000円程度の負担になるとのことです。

 残念ながら、国の子育て支援対策の財源である「安心こども基金」は、「幼稚園型の認定こども園」の保育所機能部分において、対象児童に年齢制限を設ける場合は、補助対象としない、とされています。

 そこで、「緊急保育5か年計画」の見直しの中で、川崎市単独事業として、「幼稚園型の認定こども園保護者」の負担を軽減する補助スキームを検討できないのか伺います。

こども本部長

 幼稚園型の認定こども園につきましては、幼稚園が3歳児以上の保育に欠ける子どもを受け入れる、いわゆる単独型と、認可外保育施設を併せ持ついわゆる並列型と、0歳児から2歳児までは併設する認可外保育施設で受け入れ、3歳児以上は幼稚園児とするいわゆる年齢区分型の3パターンがございます。

 川崎市といたしましては、来年度に学校法人調布学園の運営により開園いたします(仮称)みらいこども園を川崎市の認定こども園のモデル園と位置付けておりますので、今後につきましては、その検証を行いながら、幼稚園型の認定こども園における認可外保育施設のありかたを研究し、保育基本計画の見直しの中でその位置づけについて検討してまいりたいと存じます。

織田かつひさ

 「緊急保育5か年計画」の見直しの中でどのように待機児童を減らすことができるのか、新たな保育所施設整備をこれからも続けていくことができるのか、さらに園庭のない劣悪な環境で保育が行われてよいのか、抜本的に考えを見直す必要を感じます。

 また、保育に厚く、幼稚園に薄い公費の還元の実態、さらに保護者の収入の逆転現象からも、市の予算で「預かり延長保育」や「幼稚園型認定子ども園へ助成するスキーム」を検討すべきです。

 今回の質疑で、「検討する」とのご答弁を頂きましたので、これからも注視して参りたいと思います。